快適な生活をおくるには、食生活に直結する「歯の健康」が重要です。
歯には「むし歯」と「歯周疾患」という2つの大きな病気があり、多くの人が子供のむし歯と加齢による歯周疾患の進行はある程度仕方がないと思っています。
しかし、歯の病気に関する研究が進み、これらの病気は細菌による感染症だということが分かってきました。検査を受けて、的確な治療・予防を行えば、あなたの歯の健康を保つことができるようになります。
歯の周囲に付着したプラークが、歯と歯茎の隙間に入り込み、歯を支えている骨を溶かしてしまいます。そして最悪の場合、歯が抜けてしまいます。日々のブラッシングが正しく行えていなかったり、定期的なクリーニングを行っていないと、プラーク内に増殖した細菌が歯茎を侵し、歯周病を発症・進行してしまいます。プラークは誰でも少なからず付着しています。問題はその付着したプラークが増殖しやすい口腔内の環境を作ってしまうことです。
歯周病が怖いのは歯を失うだけでなく、心臓病や糖尿病などの全身疾患にも悪影響を与えてしまう点です。歯周病になると歯肉が炎症を起こし、緩やかに進行する慢性炎症となります。
慢性炎症は自覚症状が少なく、気付いた時には手遅れになっているケースが少なくありません。
また、歯周病の影響は歯周組織に留まらず、血液や血管を介して全身の臓器へ影響を及ぼすといわれています(病原性菌血症)。
日々の生活習慣を見直し、歯周病を予防することが全身の生活習慣病の予防へとつながります。
歯周病は自覚症状がなく進むことも多く、気付かない間に悪化してしまう怖い病気です。
このような症状があてはまる方、お悩みの方はぜひ一度ご来院ください。
当院ではまず、現状でどの程度歯周病が進行しているか歯周病検査を行います(保険適用) 。
1本の歯に対して6か所歯周ポケットの測定、歯の動揺度、BOP(出血の有無)歯肉の中の歯石の有無などを検査します。
歯周ポケット内の歯垢を採取し、位相差顕微鏡を使用して歯垢の中の細菌を調べます。原因となる細菌が分かることで、歯周病の進行リスクや患者さんに合った治療法が分かります。
歯周病は細菌感染により、骨の破壊が起きる病気のため、進行度によってはCT撮影により、骨の破壊の程度などをよりリアルに見て判断する必要があります。また骨の状態からおおよその歯の寿命も積算できるため、予知性の高い治療を行うことができます。
現在の状況をしっかり説明させていただいたあと、歯周病の進行度に応じてその人に合った治療計画を立てます。
ブラッシング指導・プラーク除去・縁上歯石除去・歯肉の炎症状態を確認しながら縁下歯石をとっていきます。
治り方(反応の仕方)は個人差があるので、その都度状態を見ながら治療していきます。
可能な限り、負担がかからないように配慮し、効率よくケアしていくためにこのような器具を使用しています。
振動数は毎秒18,000~50,000回とエアースケーラーより多く、主に歯肉縁下の歯石除去に使用されます。また歯肉縁に沿って、頑固に付着している歯石を効率的に粉砕・洗浄することが可能です。加えてバリオスは、消毒水や抗生物質を混ぜた物を注水しながらの スケーリングが可能なため、歯の消毒や抗炎症効果が得られるため、通常のスケーラーよりも安心安全に治療を行うことができます。
歯周病が進行した患者さんにはこの超音波スケーラーバリオスを使用してクリーニングを行っていきます。
振動数は毎秒2500~6500回と超音波スケーラーよりは少ないですが、その分ソフトな動きのため、歯を傷つけにくいというメリットがあります。主に歯肉縁上の歯石除去に使用されます。
歯にやさしいグリシン(アミノ酸の一種)などの粒子をウォータースプレーで吹きつけ、歯の表面に付着したしつこいバイオフィルム(歯垢・プラーク)やタバコのヤニ、コーヒー、茶渋など通常のクリーニングでは除去できない汚れを吹き飛ばしていきます。
ポケット深い所や狭い所の歯石をきれいに取り除く際に使用されます。
ハンドスケーラーには、鎌型スケーラー、鋭匙型スケーラー等があります。
鎌型(シックルタイプ)スケーラーは幅が広いため、他のハンドスケーラーよりも取り除ける範囲が広く、主に歯肉縁上のプラークや歯石を除去するのに使用します。
鋭匙型(キュレットタイプ)スケーラーは主に歯肉縁下のスケーリング・ルートプレーニングに使用します。先端の両側に刃がついているユニバーサルタイプと、先端の片側だけに刃がついているグレーシータイプがあります。使用する部位に合わせて頸部に角度がついているのが特徴です。治療部位によって使い分けています。
歯周病治療においてのレーザーの役割は主に歯周ポケット内の殺菌処置です。
また、重度の歯周病の処置の際に切開で用いるケースがあります。レーザーは出血が少なく切開ができ、また止血効果にも優れています。処置後の治癒が早まる利点もあります。
年を取るにつれて歯を失い、想像以上に辛い思いをされている方がたくさんいらっしゃいます。歯を失う原因は、実際に歯を失う頃よりずっと前から存在しています。そして、その原因は未然に防ぐことができます。いつまでも自分自身の歯で健康的な食生活を送るために、しっかりと日頃からメインテナンスを行っていくことが大切です。
予防のスタートは、PMTCと呼ばれる歯科衛生士が専門の機械を用いて行うクリーニングです。
歯垢やプラークはバイオフィルムと呼ばれ、歯の表面にヌルヌル、ネバネバした膜を作っています。この膜の中に、むし歯や歯周病の原因となる細菌が住み着いています。
バイオフィルムは歯ブラシでは取り除けないほど強力な粘着力を持っています。
そのためPMTCを定期的に行うことによって強力なバイオフィルムを除去し、お口の中をむし歯、歯周病から守り健康的な口腔内が維持できます。
クリーニングが終わった後は、フッ素塗布を行います。
入谷歯科クリニックのフッ素塗布は、3DSと呼ばれる「デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム」を採用しています。薬の働きを最大限に発揮するように工夫された投与方法になります。
歯列にフィットしたトレーを用いて薬を一定時間、歯面のみに塗布いたします。
唾液に薄まることもなく、安全かつ確実に抗菌剤やフッ化物などの薬を歯や歯肉に輸送・塗布することができます。歯の表面にバイオフィルムがあると膜を作っているため、歯に浸透しなくなるため、必ずPMTCを行ってから3DSを行います。
3DSを行うことにより、むし歯や歯周病の起こりにくい、進行しにくいお口の環境になっていきます。
フッ素塗布が終わった後は、ブラッシング指導を行います。
日頃のブラッシングでは、しっかり磨けているようで実は磨き残しのある患者さんが少なくないため、きちんとそれぞれの患者さんに合った歯ブラシの硬さや形状の選択、磨き方のコツを歯科衛生士が丁寧に指導させていただきます。